こんにちは。aoitoriです。
司法試験・予備試験等の資格試験の受験対策として、予備校講座等を動画で視聴している方も多いのではないかと思います。
対面の講義とは違って、場所や時間を選ばず自分のペースで学習を進められる上に、再生速度を変えたり一時停止したりすることもできます。
では、最も効果的な視聴方法はどういったものでしょうか?『脳が一生忘れないインプット術』(星友啓・著、あさ出版)よりご紹介します。
動画視聴のクオリティーを上げる4つのステップ
司法試験・予備試験等の資格試験の対策として、入門講座だったり問題の解説であったり、動画を視聴することでインプットを行う機会も多いことと思います。
しかし、動画の講義でやったことがあるはずなのに頭に残っていない、なんてことはありませんか?
特に学習開始後にまず取り組むであろう入門講座的な講義の場合、講義時間はかなりのボリュームがあるので、漫然と視聴してしまうとせっかく時間をかけて視聴し終わったのに何も頭に残っていない、なんてことになりかねません。
そんな事態を防ぎ、効率的に動画視聴でインプットを行うための方法が紹介されているのが、受験生時代、私のバイブルだった『脳科学が明かした! 結果が出る最強の勉強法』(光文社)の著者、星友啓先生の新刊です。
本書によると次の4つのステップに従って動画を視聴することで効果的なインプットが行える、とのことです。
ステップ1 まとめのプレビュー
ステップ2 動画の速度調整
ステップ3 ストップ&ゴー
ステップ4 視聴後のアフターケア
ひとつずつ見ていきましょう。
いきなり視聴はNG。ステップ1まとめのプレビュー
「読むインプット」を始めるにあたって、まずすべきことは、自分がなんのためにインプットしようとしているのかを明確に意識すること、つまり、【目的設定】です。
よし、【目的設定】ができた。さっそく読み始めよう!
そういきたいところですが、読み始めるのにも大事なインプット戦略があります。シンプルに一行目から順番に読んでいくなんてもってのほかです。
まずは、タイトルやサブタイトル、セクションごとの見出しを読んで、全体の内容を【プレビュー】しましょう。
「読むインプット」の部分に詳細が記述されているのでそこから引用していますが、動画視聴によるインプットの場合も【目的設定】と【プレビュー】の重要性は同様です。
You Tubeなどの動画からインプットを行う場合、目的設定やプレビューを行うことが難しいこともあるかと思いますが、資格試験対策として予備校等の講義を動画で視聴する場合はテキストやレジュメがある場合が多いと思うので、それらの該当箇所に目を通して【目的設定】と【プレビュー】を行いましょう。
【目的設定】と【プレビュー】が重要な理由は、脳内のドーパミンの分泌に関係があります。
ドーパミンはインプットする時の集中力や記憶力をアップさせる物質ですが、何かをインプットした時だけでなく、新しい情報がインプットできると期待するだけで分泌されます。
そのため、「目的設定」や「プレビュー」をすることで、自分が知らないものを知っておくこと(=メタ認知)によって、インプット前にどんな新しい情報をインプットすることができるかを意識しておくことが重要なのです。
脳に最適な速さは?ステップ2再生速度の調整
動画で講義等を視聴する場合、1倍速未満で通常よりも遅い速度で再生したり、一方1倍速を超える速度で早く再生したり、速度設定ができることが多いのではないかと思います。
できるだけ速く再生する方が短い時間で視聴を終えることができるので効率的に思えますが、効率的にインプットを行うため脳にとって最適な速さはどのくらいなのでしょうか?
インプットする内容の難易度や個人差にもよりますが、これまでの研究を総合してみると、およそ1・8倍速ぐらいまでが限界ではないかというところです。
特に勉強などで、新しい内容をインプットするような場合には、1・5倍速ほどでも理解度が下がってしまいます。
その一方で、1・4倍速ほどまでであれば、理解度を下げることなく聞くことができ、さらに、通常の速さで聞くよりも心地よく聞くことができるようです。
理解が進んでいるのに通常の速さだと、その遅さにストレスがかかってしまうこともあり、適度な速さにすることで、そうしたストレスも避けることができます。
デジタル環境で理解度を下げずに「聞くインプット」をするためには、1・5倍速以上の速度は避ける方にした方が賢明です。
私も初めて講義を視聴する時は、話し方がゆっくりの先生で1.5倍速、それ以外の先生の場合は1.3倍速ほどで視聴していました。
その後、一度視聴した講義を音声だけで聞く場合には、はじめのうちは1.5倍速、何回も聞いたものは2倍速で再生していました。
早く視聴を終えたくて最大の速度で再生したくもなりますが、理解度が下がってしまっては本末転倒なので、欲張りすぎず程よい速度で視聴するようにしましょう。
メモの取り方にも工夫が必要。ステップ3ストップ&ゴー
講義の視聴中にノートやメモを取る機会も多いかと思いますが、本書では「手書き」がお勧めされています。
その理由について以下のように説明されています。
しっかりと理解して記憶に留めておくためには、インプットする内容を自分の脳で咀嚼することが必要であるのに、ワンクリックで情報が記録されてしまうと頭を使う必要がありません。
一方で、メモやノートを取ることは、記録を残しておくこと以上に、学んだ内容をしっかりと頭に入れて脳を動かす働きがあり、効果的なインプットには欠かすことができないのです。
では、手書きのメモはいつ取るべきでしょう?
講義を聞きながら、という方も多いのではないかと思いますが、効果的なインプットという観点から見ると問題があるようです。
ながら作業でメモを取る場合、話を聞く、どの部分を書き留めるかを決める、ノートの適切な位置に正しく文字を書き込む、そうしながらも続きの話を聞き取る…と、私たちの脳はいくつもの作業を短い時間内に実行しなければならず、ワーキングメモリーに大きな負荷がかかってしまいます。
そのため、動画を見ながら、また話を聞きながらメモを取ることは、能動的に集中できるどころか、全く逆効果になってしまいかねないのです。
動画のインプットで最もおすすめな方法は、動画を5〜10分程度でいったん止めてメモを取ることです。
再生速度を変えるだけでなく、一時停止の機能も存分に使うといいということですね。
いったん動画を止めたら、そこまでの内容についてキーワードや重要点をいくつかメモします。動画の速度調整で稼いだ時間を使って、1〜2分の短い時間でのメモ書きで構いません。きれいに見やすくする必要はなく、あくまで脳がエンゲージすることが目的です。
これは、「リトリーバル」と呼ばれる、自分の頭だけを使ってインプットしたことを思い出す、脳のエンゲージメント法にあたります。
この作業が次のアフターケアと並んで、効果的なインプットを行うための要になります。
視聴しっぱなしはもったいない。ステップ4視聴後のアフターケア
動画を見終えたら、「読むインプット」後のアフターケアと同じように次のことをやってみましょう。
【キーワードテスト】キーワードの定義や説明を思い出してみる
【アウトライン】箇条書きで全体の目次をつくってみる
【まとめ】読んだ内容から自分の目的への収穫を箇条書きでメモする
【Q&A】周りの人に説明したり、質問したりする
これらも自分の頭だけを使ってインプットしたことを思い出すリトリーバルに該当します。
思い出せない部分があったら、改めて内容を確認しましょう。
リトリーバルは、先日ご紹介した『科学的根拠に基づく最高の勉強法』(医師 安川康介・著、KADOKAWA)では、「アクティブリコール」と呼ばれていました。
呼び方、方法はさまざまですが、自分の頭だけを使って思い出すことがインプットのためには重要だということは共通です。
ご自身の勉強にぜひ取り入れてみてください。
今日もお読みいただき、ありがとうございました。
みなさまの合格に向けて参考にしていただければ幸いです。
▼動画の視聴方法を中心にご紹介しましたが、「読むインプット」の部分も資格試験の勉強に非常に参考になります。
▼私が利用していた予備校講座はこちらです。