こんにちは。aoitoriです。
『科学的根拠に基づく最高の勉強法』(医師 安川康介・著、KADOKAWA)より、司法試験・予備試験の受験生がぜひとも取り入れたい勉強法を3つご紹介しましたが、今日は反対にやっている本人は効果が高いと錯覚しがちなのに実は効率が悪い要注意な勉強法を3つご紹介します。
負荷が低い勉強は効果も低い「繰り返し読む」
テキストなどの教材を「読む」ことは、資格試験の受験勉強において根幹をなす行為いえます。
しかし、それが効果的な勉強法とは限らないようです。
本書によると、
教科書や本は何度も繰り返し読んだ方が良いと、どこかで聞いたり読んだりしたことがある人は多いかもしれません。繰り返し読む、再読するという勉強法は最も一般的な勉強法の1つだと言えます。
(中略)
では、再読は、効果の高い学習方法と言えるのでしょうか。
結論から言うと、「ただ繰り返し読むこと」は、本書で説明するような他の勉強法と比較すると効果が低いことがわかっています。
として、ある文章を再読するグループと再読しないグループに分け、後日内容について試験をしたところ、2つのグループの成績に優位な差はなかったとする研究結果が記されています。
この研究において「再読」は試験勉強としては無意味だった、ということですね。
司法試験・予備試験に向けた受験勉強においても、テキスト等の教材を繰り返し読む、という勉強法は一番取り組みやすい方法かと思います。
しかし、司法試験・予備試験は範囲が膨大であるだけに、教材を読むのにも膨大な時間がかかります。
その膨大な時間が無駄になってしまうと思うとなんとも恐ろしいことです。
ちなみに、私自身もこの罠にかかってしまったことがあります。
1度目の予備試験の勉強をしていた時期で、論文対策として重要問題習得講座に取り組んでいたのですが、解いていたのでは試験までに間に合わない!と焦ってしまって、テキストの問題と解答解説を複数回読むだけにしてしまったことがありました。
その結果、教材を1周することはできたものの、何も頭に残っていない、さらに試験までの期間はますます短くなっているという状態に・・・。
泣きたくなりました。
そのような勉強をしている最中は、教材も進むし、理解が進んでいるような実感もあったものだから厄介です。
なぜこのようなことが起こってしまうのか、その原因についても本書に言及があります。
普通の再読に、学習効果があまりないと考えられる1つの理由としては、同じ文章を2回目に読むときのほうが文章に慣れすらすら読め「わかった気になってしまう」ため、さらに理解を深めたり、覚えたりするといった深い情報処理が新しく行われにくいことが考えられます。
このような、表面的に情報が処理しやすくなったことで、実際には内容を記憶し深く理解していないにも関わらず、覚えた気になってしまう、理解した気になってしまう心理的な現象は、「 流暢性の錯覚(幻想)(The fluency illusion)」と呼ばれています。
この「流暢性の錯覚」にだまされることなく、ある程度積極的に自分の脳に負荷をかけること(「望ましい困難」)が、効果的な勉強には大切とのことです。
キレイなノートには憧れるけど・・・「ノートに書き写す・まとめる」
学生時代の定期試験対策として取り入れていた方も多いのではないかと思われる「ノートに書き写す・まとめる」という勉強法も要注意です。
再読の次に取り上げたい、あまり効果の高くない勉強法、それは「教科書や参考書の文章をノートにただ書き写す・まとめること」です。
教科書や参考書の内容を、綺麗な字でノートに書き写したり、まとめたりしているのに、試験の点数が芳しくない人は意外と多いのではないのでしょうか。参考書のポイントだと思う箇所や、英単語帳から英単語をノートに丁寧に書き写したり、まとめたりすることは、それだけで達成感があり、「勉強した気」になってしまう行為です。
私自身、ノート作りは時間がかかりすぎるのでやらない派で、時間が許すのであればやってもいいのでは?と考えていましたが、学習効果が低いとのことで、むしろ「やってはいけない」勉強法、ということになりますね。
情報の一元化の観点からノートづくりを検討されてる方もいらっしゃるのではないかと思いますが、一元化は試験当日持っていけるサイズの教材のいずれかにするのが効率的です。
本書の著者も教科書の余白に書き込みをして一元化をしていたとのことです。
私は情報の一元化は、短答対策は択一六法、論文対策は論証集に行っていました。
そして、ノートは論文対策の問題集を解く際の答案構成等を書き殴るものとして使っていました。
先日ご紹介した効果的な勉強法「アクティブリコール」の一種ですね。
勉強した気になってしまう「ハイライトや下線を引く」
試験会場でカラフルにハイライトされた教材を持参している方を見かけると、自分の地味な教材と比べて焦りを感じてしまっていましたが、「ハイライトや下線を引く」勉強法も注意が必要です。
あまり効果のない学習方法として、「ハイライトすることや下線を引くこと」があります。色とりどりの蛍光ペンを使って単語や文章をハイライトすると、なんとなく勉強した気になります。けれども残念ながら、これにはあまり効果がありません。
ハイライトすべき重要なポイントを適切に選ぶことができるとは限らないこと、下線が引いてあるところだけに気が向き、全体の内容を関連づけて理解することが阻害されてしまう可能性があること、が問題なようです。
これは私自身も実感していたところです。
学習を始めて間がない頃は教材に書いてあることの全てが重要に思えるし、重要なキーフレーズだけマークしておくと、その部分は思い出せるけど、その前後は思い出せない、ということが多々ありました。
そして最終的には、短答対策として択一六法に短答過去問で間違えた部分に関連する部分をマークする際にだけアンダーラインを用いる方法に落ち着きました。
択一六法を通読することはないので、どの部分を確認すればいいのかわかるようにするためと、自分の理解が曖昧な分野をあぶり出すためにアンダーラインを用いていました。
本書の著者も、
ハイライトや下線を引くことは、それほど手間がかからないことと、繰り返し通読することはしないので、後で覚え直すところ、何か資料として使えそうなところはマークしておきます(中略)。しかし、再読と同じで、あまり効果がないにも関わらず「勉強した気になってしまう」ことがある点には注意し、ハイライトや下線を引くだけでなく、後で述べる効果の高い学習方法も行う必要があります。
として、マークすること自体は否定していません。
目的をもって行うようにしハイライトや下線を引くためだけに勉強時間を割かないようにしましょう。
また、繰り返し通読する類の教材(論証集等)にはハイライトや下線は引かないほうがいいでしょう。
みなさまの合格に向けて参考にしていただければ幸いです。
▼私が実践していた勉強法はこちら。
▼こちらの講座をメイン教材にしていました。